もうかなり前になりますが、看護学校を受験する女性に勉強を教えたことがあります。
たしか30歳くらいのかただったかな。
ご結婚されていて、ご自身も働いていました。
看護士になるのが昔からの夢だったけど、若いときにいったんあきらめたとのこと。
でも、どうしてももう一度挑戦したい、という気持ちになり自分自身で勉強してみようと思ったが、どうにもうまくいかない。
で、教えて欲しい、とのことでした。
勉強を開始する前にいろいろお話を聞いて、状況の確認。
・某高校の商業科出身。
・中学時代は勉強が大嫌いだった。 英語も数学も不得意だった。
・10年以上勉強らしい勉強はしていない。
・志望校の受験科目は高校レベルの英語・数学・国語
高校レベル、といっても大学入試レベルを要求されているわけではありません。
数学は数学Ⅰ、が範囲だったはず。
まずは、中学英語、中学数学を総復習してから高校の内容に進みましょう、と確認。
さて、4月から勉強開始。
引き受けたからには、やるぞ、という気持ちで僕も授業をしました。
・・・が、一回目の授業で、「これは、大変だな・・・」。
と思いました・
まず英語。
たぶん英検でいうと5級レベルか。 4級をいま受けても受からんな? という感じ。
次に数学。
正の数・負の数、文字と式、いずれもよくわかっていませんでした。
「5a = 5 × a のことですよ。
5 + a のことじゃないんです・・・。」
そんな説明をした記憶があります。
看護学校の受験日は11月。 あと7ヶ月か。
んー。 どんなマジックを使ったら、合格できる?
しかし、その女性は、いままで教えたどんな中学生、高校生よりまじめで意欲的でした。
わからない問題はそのテキストのページに付箋紙をはり、授業のときに必ず質問をします。
そして、こちらから指示したわけでないのに、自ら、2冊の問題集を買ってきて、
習った問題と同じ様な問題を解きまくるわけです。
そしてそこでもわからない問題があれば、質問をしてきました。
家事全般、自分の仕事、をこなし、その間の時間で勉強するわけです。
お仕事は夜勤もあったはずです。
本当に頭が下がる思いでした。
6月には中学の総復習は終了し;
そして、10月ころには数学Ⅰの基本から標準レベルの問題をすらすらと解けるようになっていました。
英語も10月に英検を受験し、準2級を取得しました。
看護学校の受験も見事に突破しました。
この経験は僕にとって、非常に大きな意味がありました。
この女性の成績の飛躍は通常考えられないものだったのです。
何歳であろうとも、ひとたび目標を持って努力を続けると、道が開けてくる。
よく言われることでありますが、身近にそれを実感したのです。
勉強における全盛期は、常にいま現在。
そう思うことにしています。
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