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塾長ダイアリー「3年後の合格報告」

…塾長として長いキャリアの中で、思ったこと・学んだことを綴ります…

 

いままで教えた生徒たち、全員を志望校に合格させることができたわけではないです。

志望校に入れずに涙した生徒もいます。

そんなときは僕も本当に心が痛いわけです。

 

 ”合格させるのに何が足りなかったか。”

 ”2次募集で入学した高校で、楽しく過ごしているだろうか。”

 

ときどきその生徒たちのことを思い、そう考えるときがあります。

 

ある1月の半ば過ぎのこと。

中学のとき当塾に通っていた生徒から電話がかかってきました。

この生徒は3年前高校受験で涙を流しました。

相談したいことがあるので会ってほしいとのこと。

 

次の日に塾に来てもらいました。

3年ぶりの再会でした。

 

中3のときの幼い感じが抜け、ずいぶん大人になっていました。

顔つきもしっかりとした、強い意思を持っている表情にみえました。

 

「いまセンター試験が終わって、A大学にしようか、B大学にしようか

 迷っています。 先生はどう思いますか?」

 

とのこと。

 

A大学もB大学も国立大学で、A大学のほうがレベルは上。

そして、センター試験の得点をもとにした各予備校の合格予想(センターリサーチ)を

見せてもらいました。

 

らくらくの合格圏内、というわけではないが、A大学に十分合格できるところにいました。

あとは、2次試験次第です。

 

「きみは、A大学が第一志望なんだよね? できればA大学に行きたいんだよね?」

「はい、そうです。」

 

さて、なんと答えるべきか。

できればA大学に行かせたい。 でもより安全なのはB大学です。

 

この生徒は3年前涙を流している。

今回は笑顔の春を迎えてほしい。

 

結局こう答えました。

 

 

「最終的に決めるのは、きみと親御さんだよ。

 でも、きみがA大学を目指していままでがんばってきたのだろうし、

 いま、十分合格の可能性がある。

 A大学にトライする価値はあると思う。」

 

そう答えました。

 

そうすると、その生徒は

「僕もA大学を受けるつもりでいました。

 先生の言葉をきいて踏ん切りがつきました。

 A大学を受験します!」

 

その日からその生徒のことは気になっていた。

2次試験に向けての勉強は進んでいるだろうか。

本番で緊張しないだろうか。

合格発表の日、電話がなかなかこなかった。

電話がきたのはその当日の夕方だったか、次の日だったか、だと思う。

 

「先生、合格しました。」

 

そうか! よかったなぁ!

3年前、涙を流し、でもそのあと努力を積み上げていったんだね。

3年前、地元の進学校に合格した当塾の生徒たちのうちでも、国立大学に入れたのは数名だけだったはず。

彼が行った高校は進学校、とは呼べないところだったけど、

話を聞くと、とても丁寧に勉強を教えてくれて大事にしてくれた、とのこと。

彼に合っていたのかもしれません。

僕が関わっていた高校受験で結果が出せず、逆に関わっていない大学受験でいい結果が出たことになる。

そのことに対して少々複雑な気持ちではありました。

でも、素直にその100倍くらいうれしかった。

一番うれしかったのは、3年前結果を出してあげられなかったのに、僕を頼って相談に来てくれたことかな。

 

一度や二度の挫折なんて、なんてことないんだな。

また気持ちを建て直し、頑張ればいいだけなんだ。

 

これもまた、生徒から学んだことです。